倫理観ちゃんのブログ

最高の人生にする

希釈

朝、君が隣にいないことに絶望する。

500mlのペットボトルを手に取って、乾燥した喉に流し込む。

アルコールを飲んだ後は同じだけの水を飲みましょう、とか、啓蒙ポスターに書かれてそうな言葉をウンウンってあたしは信じているから枕元の水は欠かせない。素直でも真面目でもない、ただ思考を停止しただけである。多分あたしの毎日はそういう考えることの放棄みたいなことで辛うじて形を成している。

だから困るのだ、こういった選択を迫られることは。それ以外のことが手につかない。

2年前、大好きで、病んで、泣いて、諦めた男に、先週、「俺はすごい特別扱いしてるつもりだよ、だから付き合っても良いと思ってるし、結婚しても、大きい問題は起きないと思ってる」と言われた。呆れるほどクズだけど、呆れるほどあたしと似ているけれど、「他の男を見たいならいいよ、でも絶対俺がいいって思うから」そう言う彼の余裕に正直惹かれた。

でもあたしには好きな人がいて、その場では答えられなくて、御託をごちゃごちゃ並べて、家に帰って今までに無いくらい優しく抱かれた。イキそうになる時に、あたしの肩と、頭を抑え付ける強引さが好きだった、好きだと思った。同時に、これって思考を停止しているだけだと思った。

金曜日、大好きな人に会った。会った瞬間、「久しぶり、会いたかった」そう言いながら玄関で抱きしめてくれるところが好きだ。「可愛い、たまんない」そう言いながら抱いてくれるところが好きだ。甘えてくる彼に「犬みたいですね」って手のひらを差し出したら「お手」のポーズを取ってくれるところが好きだ。全部好き。でも、あたしが好きだと言っても、決して「好き」と言ってくれないところが嫌いだ。大嫌いだ。

 

朝、君が隣にいないことに絶望する。

あたしはいつも絶望している。

消去法でしか自分の未来を選択出来ない自分に絶望している。

ただ隣で寝る人にいて欲しいだけで、自分の好意を誤魔化す自分に絶望している。

 

あたしは君という存在で、絶望を薄めたいだけなのだ。