倫理観ちゃんのブログ

最高の人生にする

犬になりたい

君といる時の僕は惨めだ。始まった瞬間からもう、終わることの恐怖に支配されている。そしてもちろん、終わってしまった後は涙が止まらない。

出会って3ヶ月、初めて普通のデートをした。午前中に待ち合わせて、行きたかった喫茶店でランチして、おうちでセックスして、岩盤浴に行った。出会ってすぐのときに、僕が行きたいと呟いていた喫茶店のことを覚えていてくれるその中途半端な優しさが嫌い。館内で君に着いていく僕に当たり前のように手を差し出してくれるその中途半端な優しさが嫌い。帰り際に自分の電車を見送って、僕の電車を待ってくれるその君の優しさのせいで、僕はこうして泣いているのに、きっと君はそうとは知らない。そういうところが大嫌いだ。

僕に腕枕をしながら眠る君の頭をそっと撫でたら、「それ好き」とヘラヘラ笑うから、「ほんとに犬みたいですね」って言った。僕は「お手」と左手を差し出して、君は「ワンッ」なんておどけながら手を重ねる。ゆるくパーマのかかった髪の毛と、僕を見つめる瞳は本当に犬みたいだと思った。

 

でも僕は、ほんとうは、君の犬になりたい。

尻尾を振って、僕だけのご主人様、なんて信じて君に頭を撫でられたい。君だけの忠犬になりたい。君に捨てられたら死んでしまうような、馬鹿で一途な犬になりたい。お手もお座りも伏せも、出来ないかもしれないけど、君の帰りを玄関で待つことだけは得意だと思うからさ。初めて会ったとき言ってたじゃん。最近引越した家がお気に入りって話をした後に「あとは可愛い女の子が家で待ってたら、最高なのになあ」って言ってたじゃん。僕はいつでも待ってるよ。だから僕を君だけの犬にしてよ、信じさせてよ。