倫理観ちゃんのブログ

最高の人生にする

正しくなりたい

春の夜、高速道路を走る車のテールランプを見送りながら、大好きだった人にさよならを言うためのシミュレーションをしている。嫌いになったわけではない。きっと君に会えば、あ〜大好きだなあ、と思うだろう。またいつか会いたいと思ってしまうだろう。だからこそ、ちゃんとケジメをつけなければいけないと思っている。それがせめてもの礼儀だと考えている。

そもそも付き合ってもくれなかったから、さよならをするとか、ちゃんちゃらおかしな話だよな、と苦笑してしまう。あたしはちゃんと君のことを好きだったし、ちゃんと好意を伝えたし、君と正しくなりたかった。それは君のせいなので、しっかり反省してください。これは罰です。

一生忘れられない人になりたいなんて思うのは、望みすぎだろうか。一生後悔してほしいなんて思うのは、自惚れだろうか。あたしの香水と同じ香りに気付いたときや、あたしの最寄りの駅の名前を聞いたとき、あたしを思い出して一生苛まれてください。

実は、仕事の帰り道、電話してきてくれたの、何度も拠り所みたいにして反芻していた。実は、「似合うと思って」とリップを選んでくれたことが嬉しくて沢山自慢した。実は、君が髪をあたしのおでこに擦り寄せるようにして目覚める朝が、なによりも愛おしく幸せだと感じていた。あのね、次で最後にしなければいけないと思うと涙が止まらないくらい、ちゃんと好きだったよ。

 

まあ、君の人生におけるあたしの存在比率は、きっとそういうあたしの1割にも満たないのだろうけど。そんなことは、痛いくらい分かっている。

 

恋愛に正しさなんてなくて、世間体とかどうでもよくて、自分の気持ちに素直でいることが必要だってずっと理解していた。けれどあたしは正しくて周りに祝福される恋愛がしたいのだと、君と過ごして分かったの。

 

君とあたしは、2人では正しくなれない。

だからさよなら。

今まで本当にありがとう。

 

君が見るはずないけれど、あたしの気持ちはここで供養します。