恋愛なんて出来ないって、分厚い牛タンを焼きながらあたしの目の前で乾いたように笑った彼も
あたしとのセックスが一番気持ちよくて、他の人とセックス出来なくなった、ってあたしを抱きしめて寝た彼も
人には言えないあたしの経歴を作り上げる発端となって、たまにしか連絡をくれなくなった大好きだったけどクソみたいな彼も
30とかになるまでには、あたしのことなんか忘れて普通に恋愛して普通に結婚して子供と一緒に公園行っちゃったりする男になるんだろうなって思ったらどうでもよくなっちゃった。
結局妊娠のリスクを伴わないセックスは何か価値を生むわけではない。
相手が同じ側の人間である限り、それはきっと愛が伴うか否かなど問題ではないのだ。
それに気付いた夜、あたしはフリスクを噛み砕きながらデコボコのアスファルトを厚底で踏みつけてちょっと泣きそうになった。
いくつになればまったくひとりぼっちの夜を普通の顔して過ごすことができるようになるのかなんていくつになってもわかんない気がする。
